神道青年全国協議会平成28年度中央研修会
3月23日・24日の日程で「神道青年全国協議会」が主催する中央研修会が広島の地で開催され、当会からも6名が出席した。この研修会の主題として「平和の希求 ~進むべき未来の道筋~ 」が掲げられ、真の平和とは何かを考究し、直面する危機への在り方、進むべき道を検証することに加え、先人達の遺志、そして平和を切望する広島の記憶を共有し、これを後世へと受継ぐことを趣旨とした。
一日目の開講式には多くの御来賓に御臨席戴き、代表して広島県神社庁川通泰庁長にご祝辞を頂戴した。第一講は講師ケント・ギルバート先生(カリフォルニア州弁護士)・演題「真の平和を実現するために」として「これからの日本を考えるには、戦後を考えると良い。そしてメディアより与えられる情報だけではなく自ら情報を得て、多角的に物事を検証し見極める力を養う必要がある。そして自虐的史観から脱却する為に、たくさんある日本の素晴らしいところを学び誇りを持って伝えるべきだ。」と講演頂いた。
第二講は講師戸髙一成先生(呉市海事歴史科学館・大和ミュージアム館長)・演題「戦後七十年と平和」として、大和ミュージアム開館までのプロセスや収集された資料、これまでお話を伺った元兵士の体験談等をもとに、「戦争を知らない世代が次世代に伝える時代、正しい資料が正しい結論に導いてくれる。物事は良い面と悪い面があって両方知って知るということになる。精密な戦艦大和の模型を展示するのはカッコ良さの裏にある背景に興味を持ってもらう目的もあり、素晴らしい技術も使い方によって結果が変わるということ。大和は技術のシンボルであり、使い方を間違ったシンボルでもある。」と講演いただいた。特に印象的だったことは「人間は、泳いでは魚に負け、走っては動物に負け、鳥の様に飛べない。しかし、考える事ができる。戦争を知らない世代が次世代に伝えることは難しいが、考える力がある限り出来ないことはない。戦争はあってはならないからこそ、多くの人がその史実に耳を傾けなければならない。」と仰ったこと。
この後は、広島県神道青年会による趣向を凝らした余興を楽しみながら、和やかな雰囲気のもと懇親会が開催された。
二日目は午前8時に受講者全員で広島平和記念公園内原爆死没者慰霊碑前で黙祷し原爆で亡くなられた御霊らが安らかならん事を祈念し神式で拝礼した。その後、三講目、講師志賀賢治先生(広島平和記念資料館館長)・演題「記憶の継承」として、1945年8月6日午前8時15分に何が起こったか、当時の写真の多くがアメリカやイギリスに持ち帰られていること、資料館が出来た経緯、展示資料への思いや現在改修中の資料館の今後の展示計画等をもとに講演頂いた。特に印象的だったことは、当然ながら展示資料も被爆しその状態からさらに経年によって劣化してきていること、また以前他県で講演された際、広島出身の女子学生から御礼の手紙を頂いたこと、その内容は「子供のころから何度となく平和についての勉強を学校で受けてきて正直いつもと同じ様なことだと思った。しかし、今日は自分と同じ年代の方が原爆の犠牲になったという実話を聴き、自分と重なって歴史の勉強ではなく現実として感じた」というものだった。
以上三人の御講師に講演を頂き、子供を持つ親としても次世代へ平和を継承する為にも慨深いものがあり有意義な研修会であった。またこの研修会の初日、早朝の広島平和記念公園内原爆死没者慰霊碑前での風景は、早朝の散歩をされる方や、通勤の方、青年等が手を合わせたり一礼する姿が印象的であり、資料館のデジタル時計は原爆投下から過ぎた日数(26162日)と最後に核実験が行われた日数(195日)が表示されていた。
次回は、平成30年3月7日、8日は九州地区が主管し、長崎県は佐世保市にあるハウステンボスで開催される。