役員研修会 桜井市 月山日本刀鍛錬道場記念館(茅原)見学 神武天皇聖蹟狭井河之上顕彰碑視察
12月2日午後2時30分より役員研修会を開催し会員11名が参加。今回は桜井市茅原にある月山日本刀鍛錬道場記念館の見学と記念館に隣接する神武天皇聖蹟狭井河之上顕彰碑の視察を行いました。
月山日本刀鍛錬道場記念館は人間国宝刀匠月山貞一氏が、桜井市茅原に(昭和40年)鍛錬道場を開設。1995年(平成7年)に記念館を開館。
記念館には人間国宝 故 月山貞一、貞一の三男で日本刀制作部門無形文化財の指定を受けた月山貞利までの作品が展示されている。
月山は平安時代後期に出羽国月山の霊場に住んだ鬼王丸(鬼神太夫)を元祖する刀工とその一派。
江戸時代後期に月山弥八郎貞吉は大阪に鎗屋町に拠点を移したが、この系統が現代まで残り活動している。大阪より京都の亀岡、奈良の吉野などを経て現在は桜井市茅原の三輪山の麓に拠点を置いている。
月山弥八郎貞吉の養子 弥五郎貞一は刀身彫刻や月山派の特徴である「綾杉肌」という刃に向かって規則的に連なる波状の紋様の復元に貢献し1906年(明治39年)帝室技芸員に任命された。1876年(明治9年)の廃刀令によって一般人の帯刀が禁止されたため刀匠にとっては不遇な時代に活躍した。明治天皇の軍刀や皇族の作刀も行っている。
貞一の長男 月山貞勝や孫の月山貞一(二代貞一)と継承され、当代は二代貞一の三男月山貞利。その長男貞伸も作刀活動を行っている。
12月2日当日、月山貞利氏と貞伸氏より刀の姿形の変遷と月山の刀の特徴、刀を鑑賞するポイントなどのご説明を受けた。
姿形はその時代によって変わっており、平安時代中期以前の刀剣は直刀(ちょくとう)という真っ直ぐな形だったが、平安時代後期から室町時代初期には馬の上から相手を斬る為、刀身が反り長い形になっており、太刀(たち)という。
これに対し、室町時代中期以降より、江戸時代には歩兵戦で使用する長さが太刀に比べ短い、刀(かたな)が作られるようになりました。
展示してある時、太刀は刃を下に刀は刃を上に向けて展示してあります。
刀剣を見るポイントとしては姿形・地肌(じはだ)・刃文(はもん)の3点。姿とは刀身の幅や厚さ、刀の背の部分の反り具合、刀の先のとがった部分などの日本刀全体の形状。
地肌は刃の上にある黒く見える部分。
刃文は日本刀の刃の部分に見える焼き入れの工程で出来る模様。
月山の刀は地肌が綾杉肌と言われる独特刃に向かって規則的に連なる波状の紋様が挙げられる。
流派によってこの紋様は異なっているとの事。
刀剣は照明の無い状態で展示すると、暗く怖い印象を与える為、ライトアップをする事により、刀剣に対する印象が明るくなる為、非常に重要だととの事。
刀工にとって苦難の時代は、明治時代に発せられた廃刀令の以降であり、日本刀の需要が大幅に減少したとのお話であったが、それ以上に厳しかったのは、1946年(昭和21年)連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)による刀剣類の没収であり、この時は刀を作る事を禁止された為、廃業や転業する刀工が相次いだ。この一番の困難に直面した時、月山派の当主は二代月山貞一氏であり、この苦境を乗り越えて月山の技術を絶やす事無く伝承した。その事もあって、月山貞伸氏が刀工になりたいと言った時、貞利氏は勧めはしなかったとの事。
月山派が三輪山の麓に根拠地を置き日本刀を作っている事と日本刀をつくる事を禁止されてまで、その技術を残そうとした事に対し気がつかされる事は武器以外として用いられる日本刀の事である。歴代天皇は鏡 、勾玉、剣の三種神器を継承されておられ、三種神器の剣は神器としての剣である。
あたかも剣の意義が原点に帰って来た感じを受けるものあり、この月山日本刀鍛錬道場記念館見学の後、側にある神武天皇聖蹟狭井河之上顕彰碑の視察を行った。神武天皇が七媛女と会われたと伝えられる場所で、一番先頭にいた媛踏鞴五十鈴媛命を皇后とされた。
神と武の漢字がつけられておられる神武天皇はあたかも三種の神器の剣を表しているようにも思われ、皇后とされた媛踏鞴五十鈴媛が三輪山の主祭神 大物主神の娘である事から考えても月山派が、三輪山に根拠を置いている事は何か神のお導きを感じるもので、剣を御守として見直す時代になって来たのでは無いかと感じる。
日本刀に興味のある方は是非訪れた方が良いと思います。
月山日本刀鍛錬道場記念館の場所は下記の通りです。
月山日本刀鍛錬道場記念館
〒633ー0073 奈良県桜井市大字茅原228ー8
TEL0744ー42ー3230(記念館・道場)
TEL・FAX0744ー42ー7330(自宅)
■開館日 毎年3月〜11月まで毎週土曜日(8月休館)
■会館時間 午前10時より午後4時迄
■入場 無料
■交通機関 JR桜井線 三輪駅より徒歩15分
(山の辺の道、天理方面へ5分)
近鉄桜井駅よりタクシー10分